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小説家です|岡部えつ


by etsu_okabe

Shame on me./華氏911を観た

 映画の中で最も印象に残ったのは、イラクに派遣された米軍兵士の言った、
  僕の魂は死んでいる。
  人を殺す度に、僕は自分の魂を殺している。
  魂を殺さなきゃ、人なんて殺せない。
という言葉だ(正確ではありませんが)。

 にやりと笑って冷酷非情に引き金を引くとか、憎しみを抑えきれずにナイフを突き立てるとか、ではない殺人。平常心でヤる人殺し。それが「戦争」だ。

 まともな精神を持った人が見知らぬ誰かをじゃんじゃん殺すことができるのは、それを高みで見物している金満家どもが「殺す理由」をせっせとこしらえて与えてくれるからだ。それがなかったら、誰が好き好んであんな恐ろしいことをするものか。
 マイケル・ムーアはその「高みの見物客ども」の実体を、「殺す理由」の嘘を、平易な表現で見せてくれた(この“平易”が大事なとこ!)。

 怒っている場合ではない。

 わたしは晴れて今月からサラリーマンに復帰した。つまり税金は源泉で徴収される。その金は巡り巡って一つの銃弾になり、海を渡ることだろう。
 わたしの労働が、遥か遠い国で、いつか友だちになるはずだったかもしれない誰かを、殺しているということだ。
 それが、戦争。
by etsu_okabe | 2004-09-16 00:41 | 映画/芝居のこと