小説を書いたり、酒を飲んだり、恋をしたり|岡部えつ


by etsu_okabe

春ひさぐ、パイオニア

 この世で一番最初のビジネスは売春だった、というのはよく言われることだが、それが事実だと仮定して考えてみる。自分の性を売った最初の女とは、一体どんな女だったのだろうか。
 貨幣が生み出されて、それまで物々交換されてきた作物や道具や労働力に共通の価値が生まれたとき、生き物の基本的な営みとしての「性」を、それらのモノと同じ価値観で見た女。まさにパイオニアだ。
 それまで子孫繁栄のためだけにセックスしていた彼女が、ある日ふと女と男の「性感」の決定的な違い-----女の性の最重要項目は「相手のクオリティ」であるが、男の性の最重要項目は「出すこと」である-----に気づく。そして「こりゃ男に性は売れるぞ!!!」と直感する。果たして、金を握り締めた男たちが、わらわらと彼女の性を買いにくる⋯⋯。
 ひとつの大きな価値観がひっくり返った瞬間ではなかったろうか。
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by etsu_okabe | 2004-04-12 01:27 | 日々のこと/エッセー