小説を書いたり、酒を飲んだり、恋をしたり|岡部えつ


by etsu_okabe

上村一夫『菊坂ホテル』を読む

 昨晩寝しな、久方ぶりに上村一夫『菊坂ホテル』を読んだ。
 関東大震災によって東京から江戸が消えてしまう前夜のひととき、大正期の東京本郷にあった実在のホテル(菊富士ホテル)が舞台。竹久夢二がお葉と愛憎をぶつけ合う隣室で、谷崎潤一郎が菊池寛と一杯やっていたりする、そんなホテルの一人娘八重子の、十八歳にしては冷静で早熟な視点で語られていくお話だ。物語中には他に佐藤春夫や伊藤晴雨、芥川、斎藤茂吉もちらと出てくる。
 それにしても、ここに出てくる人物たちをちょっとwikiっただけでも、(その偉業の遍歴はさておき)恋愛というか男女関係の遍歴の凄まじさには驚かされる。当時の空気の中で、これは自由だったのか悪徳だったのか。彼らや彼らに絡んでいた女たちに、発言小町の回答をしてもらいたいものだ、などと思いながら眠りについた。
 今朝起きて、勢いで団鬼六の『外道の群れ-責め絵師・伊藤晴雨伝』に手が伸びそうになったが、まずは仕事。表では桜が満開だそうな。
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by etsu_okabe | 2013-03-23 10:53 | 日々のこと/エッセー