小説を書いたり、酒を飲んだり、恋をしたり|岡部えつ


by etsu_okabe

ストレスと晩酌

 半月ほど前から『中心性漿液性網脈絡膜症』という目の病を患っている。働き盛りの男性が罹患しやすい、過労やストレスが原因の病気だそうだ。
 症状としては、わたしの場合、左目の見えにくさがしばらく続いたあと、ある日突然、視界に黄色く丸い一枚のレンズのようなものがあらわれ、その向こう側が全て歪んで見えるようになった。右目をつむってしまうと、左目だけではほぼものを判別できない。本の文字などは、無精髭が踊っているような感じ。
 大学病院で検査を受け、病名がわかり、ひと月様子を見て自然治癒の見込みがない場合はレーザー治療を、ということになった。

 それから間もなくして、覚えのある腹痛に見舞われた。これまで何度も経験している胃腸炎の前兆である。
 七転八倒の発作だけは避けたいので、あわててかかりつけに飛んで行き、薬を処方してもらった。今もまだ、しくしくの痛みは続いている。

 今年に入って、気を揉むことがいくつかあった。
 まあきっとあれのせいだろうと察しはついていて、心の中ではすでに整理もついているので、あとからきた体の反応はお荷物でしかないのだが、自分の体なので面倒をみるしかない。

 わたしは神経は図太いくせに、ストレスには案外弱い。
 小学四年生のとき、市だか県だかの合唱コンクールでとても難しいピアノ伴奏を任され、リハ期間に何度か腹痛を起こしたあげく、本番の朝、家でさらっている最中に鼻血を出して、衣装の白いブラウスを汚してしまった。
 しかし、本番ではまったくあがることはなく、学校の音楽室で演るように、平気の平左で軽やかに弾ききった。そこがわたしの神経の太いところだ。そういうところでは緊張しないのだ。
 胃痙攣持ちになったのは、思春期初期の小学6年からで、それは今でも続いている。それがこじれて胃腸炎になったのではないかと、これは素人の推測だ。
 二冊目の本を出すとき、そのプレッシャーに人間関係の悩みがかけ算されて、睡眠障害になってしまったこともある。今は完治したが、あれもストレスだろう。

 とまあこう書くと、心の繊細なか弱き女のようだが、こうしてストレスをちゃんと感知して、信号としてすぐに報せてくれるわたしの体は、なかなかよくできていると思う。
 溜め込んで溜め込んで、がっくりいってしまうより、すぐにお腹が痛くなって「だめー、休む〜」と言わせてくれるほうが、良いにきまっている。

 さて。
 今回ストレスに対して、目とお腹に赤信号が点いたということは、つまり目とお腹を休ませなさいということであろう。しかし、仕事をする限り目は休めさせられない。
 そこで、せめてお腹だけでもと、ここ数日晩酌を控えているのだが、わたしの何よりのストレス解消は晩酌であるという矛盾と、どう向き合えばよいのだろうか。

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by etsu_okabe | 2014-03-01 13:32 | 日々のこと/エッセー