小説を書いたり、酒を飲んだり、恋をしたり|岡部えつ


by etsu_okabe

久し振りに東電OLのことを考える

『東電OL禁断の25時』をKindle版で読む。

 あの事件がいまだにわたしの心に棲み続けるのは、被害女性の背景に潜む"負の要素"に見つける自分との共通点が、年を重ねるごとに、石を積み上げるように少しずつ増えているからだと思う。
 たとえば「長女」、たとえば「敬愛する父親の喪失」、たとえば「適齢期をとうに越えた独身」、そして「女であること」。

 この本の著者の場合は「ホテトル嬢をしていた」という共通点を持つ。それも、ある時期同じ事務所に所属していたという、濃度の高い共通点だ。
 そんな著者が被害女性に思いを馳せて書くのは、どん底視点から観る、被害女性の心情。それは、おぞましさに眉をひそめながら指を舐め、清潔な障子を突いて空けた穴からは決して見えないものだ。唸りながら読んだ。
 そして本を閉じると、たった数ミリでも「高い位置」から他人を見下ろすことで悦に入る、そんな人間関係の中で、蟻地獄のすり鉢の砂を掻き掻き生きるわたしたちを、昼は輝かしき天上から、夜は穴の底の泥沼から、『東電OL』という偶像になる前の彼女が、嘲笑いながら眺める様が目に浮かんだ。
 わたしはまだ何も知らないし、わかっていない。


※10年前にこんな記事を書いていた。>>渋谷・円山町の気配に惹かれて




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by etsu_okabe | 2014-03-20 20:02 | 日々のこと/エッセー