小説を書いたり、酒を飲んだり、恋をしたり|岡部えつ


by etsu_okabe

『ブラック企業の新卒求人拒否 青少年雇用法案を閣議決定』から『アブレバチ』を思う

 『ブラック企業の新卒求人拒否 青少年雇用法案を閣議決定』という記事を読む。
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 良いこととは思うが、私は以前から、そもそもハローワークが悪質企業の求人を平然と出していることに疑問を感じている。
 労基署と連携して、ハロワが "ふるい" の機能を持てば済むことなのに、と。

 悪質企業の求人が少なくない数でハローワークに混ざり込んでいることは、求職者だけでなく、求人している優良企業にも損失を与えている。
 給料が高いわけでなく規模も小さいが、残業はほぼなくあれば手当てがつき、社内暴力もなく人間関係が良好のとてもいい企業が、いくら求人を出しても応募がない、という例が実際にある。ここで働きたい人はいるはずだが、求め合う企業と人が結びつかないのだ。実直で魅力の少ない条件より、よくわからないがきらびやかな条件に人は流れてしまう。
 人が「よりよい条件」に引かれるのは当然だが、現状ではそこに「甘言」が混じっている。それが甘言かどうかは「入社してみなければわからない」。
 こうして、貴重な人材に無駄足を踏ませてしまう。それだけでなく、命に関わる被害を被らせてしまうことさえある。
 この無駄足や被害をなくすためにも、そして優良企業に貴重な人材を入りやすくするためにも、就活と求人の接点で悪質企業を取り除く "ふるい" の機能はあるべきだと思う。
 広告費でもっている一般の求人誌や求人サイトには、その役目は期待できない。公の機関であるハローワークだからこそ、その役目を担って欲しいと切に願う。

 余談だが、わたしはかつて、日常的に暴力を振るう上司がいる企業に、ハローワークを介して入ったことがある。
 上司は男で、暴力をふるう相手は、特定の女性社員だった。
 上司は己の悪行を自覚しており、わたしが暴力についてはっきり非難すると、平身低頭で謝ってきた。しかし、当の被害者に謝罪はなく、暴力もやまなかった。
 被害者の女性には、在職中も退職後も何度も会い、組合への訴えかけ、労基署への通報などを勧めたが、被害は自覚しながらも、なにかと理由を作って腰を上げようとしなかった。暴力のたびに、過呼吸の発作を起こして休職するような日々を送っていたのに、だ。
 今にして思うと、あれを共依存というのだろう。暴力の本当の恐ろしさは、こういうところにある。
 わたしは結局、彼女を見捨てた。今、どうしているのかまったく知らない。
 その体験を元に書いた短編が『アブレバチ』だ。私の最初の本『枯骨の恋』に収録されている。
 物語は、パワハラ被害の果てに自殺した同僚の実家を、主人公が訪ねるところから始まる。山深いその村にある因習が彼女を取りこんで、やがて、同僚の自殺の真相が明らかに……という話。
 興味を持たれましたら、ぜひご一読を。
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by etsu_okabe | 2015-03-17 15:04 | 日々のこと/エッセー