小説を書いたり、酒を飲んだり、恋をしたり|岡部えつ


by etsu_okabe

変態に告ぐ

 JR吉祥寺駅の構内に、奇妙なポスターがある。男が携帯で女の子のスカートの下から盗撮しており、女の子は顔を歪めて泣いている。そしてコピー。

「盗撮に注意!」

 男が作ったポスターなのだろう。泣くようなイヤな目に逢いたくないのなら、よく注意しなさいよと言っている。盗撮の何が悪いのか分かっていないのだ。悪いのは女か。
 女の子は撮影されていることに気づかない。知らない間に他人に見られたくないところを覗かれ、記録され、楽しまれたり売られたりしてしまう。それは屈辱だ。
 盗撮されていると気づいてメソメソ泣く者などいるものか。バカモノ、女性は怒っているのだ! 何が呑気に「盗撮に注意」だ。被害者に注意を呼びかけるよりも先に言うべきことがあろう。

 わたしだったら、こういうポスターを作る。
 男が盗撮をしているところを、周囲のたくさんの人間がジッと見ている。それは他人の吐瀉物を見るような視線だ。そしてコピー。

「この変態が!」

 その下に、やや級数を落とした文字で「盗撮するな」と入れる。

 住宅街などでよく見る立て看板『ちかんに注意』も同様だ。どうして女に注意を促すのだ。んなこと言われなくとも分かってる。
 身近な女性に痴漢体験について尋ねてみるといい。被害者の多さに驚くはずだ。わたしは今まで女同士で痴漢の話になったとき、「被害に遭ったことがない」という女子にお目にかかったことがない。彼女たちの数×被害件数分だけ、この世には変態がいるのだ。考えただけでクラクラする。
 女はもう、十分注意しているのだ。
 どうして、『痴漢をするな、この変態野郎』と書かない。
 ああ、腹が立つ。
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by etsu_okabe | 2005-10-02 23:14 | 日々のこと/エッセー