小説を書いたり、酒を飲んだり、恋をしたり|岡部えつ


by etsu_okabe

バカに傷つけられたら

a0013420_173383.jpg 人は、人を傷つけながら生きている。
 そのつもりはなくとも、知らぬ間に傷つけている。
 人は人を傷つけて、それを笑える動物だ。
 笑うために、人を傷つける。
 笑わせるために、人を傷つける。
 自分の正しさのために、人の正しさ傷つける。
 自分が傷つく前に、他の誰かを傷つける。
 そして今日も、苦笑いして床に就く。
   (2009年夏 癒えぬ傷を嘗めながら 岡部えつ)

 映画をみそびれていた「ペルセポリス」の原作本を、古本屋でみつけた。
 この漫画は、激動の時代にイランを生きた少女とその家族を描いた、エッセイ的物語だ。作者のマルジャン・サトラピは、わたしと同世代。ほぼ同じ時代を舞台に、同じく少女とその家族を描いた日本のエッセイ漫画「ちびまるこちゃん」と比べれば、その世情の違いに絶句させられる。少女の頃をイケイケドンドンのお祭り時代に生きられたわたしたちは、なんやかや言っても、幸せだったと思う。

 漫画のラスト、いよいよイランの情勢が厳しくなり、主人公の少女マルジはたった一人、愛する家族と離れてウイーンに旅立つことになる。その前夜、ベッドの中で祖母が14歳の彼女に言い聞かせた言葉が、平成21年の日本であえいでいる44歳のわたしに、ずしんと響いた。

 この先おまえは、たくさんのバカに出会うだろう。
 そいつらに傷つけれたら、自分にこう言うんだ。こんなことをするのは、愚かな奴だからだって。そうすれば、仕返しなんかしないですむ。恨みや復讐ほど、最悪なことはないんだから・・・
 いつも毅然として、自分に公明正大でいるんだよ。

                    <マンガ「ペルセポリス」より>

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by etsu_okabe | 2009-08-05 17:11 | 日々のこと/エッセー