小説を書いたり、酒を飲んだり、恋をしたり|岡部えつ


by etsu_okabe

「するよ」と「してよ」の境界線

 あれはたしか、林真理子さんのエッセイだったと思う。ずいぶん昔に読んだので細かいところは曖昧だが、だいたいこんな話だった。

 彼女は、二人の男の間で迷っていた。どちらも魅力があり、捨てがたい状況。
 そんなある日、海外へしばらく行くことになったので、二人にその旨を知らせる。すると、それぞれ違う返事が返ってきた。
●A男「いつ帰ってくるの? ふうん、じゃあ帰ったら連絡してくれよ」
●B男「いつ帰ってくるの? ふうん、じゃあその頃連絡するね」
 彼女は迷わず、B男を選んだ。

「わかるうっ」
 読み終えて、うなったことを覚えている。
 そうなのだ。男には大きくわけて、この2種類がいる。
 たとえば、楽しく過ごしたあとの別れ際、「何かあったらまた誘うよ」と言う男と、「何かあったらまた誘ってよ」と言う男。「機会があったら会いましょう」という話があったあと、すぐにその「機会」を作る男と、こちらから連絡しない限りダンマリの男。
 
 好かれているかそうでないかの差、かもしれないが、そうだとしても、男性から女性にとる態度として「するよ」と「してよ」の差は激しく大きい。
 男性は覚えておいて損はないと思うが、さほど好いていない男にも「するよ」を繰り返されると、女心はよろっと動く。これは本当だ。逆に、好きで好きで追いかけていても、「してよ」の言動一発でさーっと醒めることもある。
 アプローチするとキモイと思われる、ウザがられる。そう勘違いしている男性が多い。しかしそれは、大きな間違いだ。女を代表して言わせてもらえば、キモイのは「ひとりよがりのアプローチ」であって、素直なアプローチはたとえ相手を好いていなくても、嬉しく感じるものだ。

 まもなく結婚する男友だちがいる。彼女とは合コンで出会い、一目惚れしたそうだ。すぐにアプローチしたが、彼女はまったく彼のことなど眼中になく、相手にされない。しかし彼はあきらめず、何度もアタックを繰り返し、とうとう彼女の心を動かして、結婚まで辿り着いた。
 この男、とにかく優しい。気遣い、心配りに時間も労力も惜しまない。そしてそのことを押しつけない。自分がやりたいからやる、そのスタンスで好きな人に「するよ」のサービスができる性格なのだ。そのことが、気のなかった彼女の心を動かしたのだろうということは、容易に想像がつく。

 繰り返すが、おおかたの女性は「するよ」の男性が好きだ。「してよ」の男性は一瞬追いかけたくなるが、すぐにその薄っぺらさにつまらなくなる。
「するよ」ができない男性諸氏よ。好きな女性がいるのなら、連絡する、誘う、機会をつくる。騙されたと思ってこれを素直な気持ちで繰り返してみて欲しい。きっと、成就する。……保証はしないけども。
[PR]
by etsu_okabe | 2009-09-17 14:19 | 日々のこと/エッセー