小説を書いたり、酒を飲んだり、恋をしたり|岡部えつ


by etsu_okabe

目的は、なに?

 たとえば職場で、ふだん経費節減にうるさい上司から、
「これで4人分のケーキを買ってきてちょうだい。もうすぐ大事なお客様が来るから、じゅうぶんなおもてなしをしたいの」
 と、2,000円を渡されたとする。
 ケーキ屋さんに着くと、200円のロールケーキと600円のショートケーキしかない。200円なら安上がりだが、見るからにしょぼい。いっぽう600円の方は豪華で美味しそうだが、これではお金が足りない。

 さて。ここは迷うところだろうか?

 答えはノンだ。なぜなら、ケーキを買う目的が明確だから。
「大事なお客様をじゅうぶんおもてなしする」のが目的ならば、自分の財布から400円足してさっさと600円のケーキを買うのが正解。そして1分でも早く帰って、部屋の掃除やお茶の準備をするべきだ。上司は喜んで400円返金してくれるだろう。

 ところがここで、迷う人がいる。
「経費節減にうるさい上司だから、200円の方がいいんじゃないか」
 と安い方を買って帰ったり、もしくはショーケースの前でさんざん迷い、結局お客様の来訪に間に合わなかったり。
 こういう、目の前に問題が立ちはだかるととたんに一番大事な<目的>を忘れてしまうタイプの人は、友達なら笑って許せても、仕事となるとそうはいかない。
 業務の効率向上のために指示していることに個人的な好き嫌いで反発してきたり(便利な新ツールを絶対に使わないとか)、どんな議題の会議にも「自分の負担を重くしたくない」という意見しか出さなかったり、目的とは無関係のおせっかいで余計な時間を使ったり……。仕事の場では、そうした人たちにいちいち「目的は何であるのか」を説いて回らねばならないのだから、大変に骨が折れる。時間も無駄だ。

 一方で、目的をしっかりと捉えて視線を離さない人とは、あっという間に仕事が進む。そして終わる。
「あれをあれして」
 と言うだけで、何を一番にして何を後回しにするのか、いちいち質問や相談などしなくても、お互いに分かる。目的はたったひとつなのだから、ちっとも難しいことではない。
 この手の人は、メールの書き方ひとつとっても実にうまく、タイトルを読んだだけで「目的」が分かるし、内容を読んだあとでこちらから質問しなくては済まないようなことは、ほぼない。しかも、短文だ。

 こう考えてみると、人生という大きなスパンで考えたとき、目的を見失うか見失わないかで、ずいぶんとその濃度が違ってくる気がする。
 などと書いてはみたが、わたしの場合、「目的」そのものが突然変わったりするんだよな、よく(へへっ)。
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by etsu_okabe | 2010-01-28 02:56 | 日々のこと/エッセー