小説を書いたり、酒を飲んだり、恋をしたり|岡部えつ


by etsu_okabe

カテゴリ:女の一人酒場( 2 )

a0013420_12581714.jpg 一人酒場とタイトルをつけておきながら、2回目にして「二人」。
 先日、近所に住む友人(女)と、地元でひっかけた。
 酒を酌み交わせる親しい友達が近所にいるというのはいいもので、思い立ったときに「今から一杯どう?」のメール一本で、すっぴんもいとわず、場所も時間も「じゃ、テキトーに」で酒場に向かえるのがありがたい。
 これも、ふだん"一人酒場"をしているからこその「ゆるり感」である。誘って断られても、そのまま一人飲みに切り替えできるところが、一人酒場派の強みだ。

 道端で待ち合わせ、そこから近いという理由で、互いに何度か行ったことのある、日本酒専門の居酒屋へ行くことにした。
 夕暮れから肌寒くなったこの日、昼から出ずっぱりで薄着だったわたしは、一杯目から燗酒に。すすめられたのは『純米 農産酒蔵』という岡山の酒のぬる燗で、口に残る香りがとても気に入って、次に別のを飲んだあと、〆に再び頼んだ。
 肴は、転職して間もない友人の、新しい職場での驚きのエピソード。福祉関係の仕事なので、中身はヘビーなことばかりなのだが、事実よりも面白く語る天才である彼女は、これでもかとわたしの腹をよじらせる。決して馬鹿にしたり見下したりしているのではなく、しんどいことを笑い飛ばしてしまうのだ。
 人は、辛いことも苦しいことも、笑うことで乗り越える技を持っている。むすっと眉間に皺を寄せて横を向いてしまうか、しっかりと前を見て笑いながらそれに立ち向かうか、どっちがいいも悪いもないが、後者のほうが前へ進める可能性を秘めていると思う。そうであるならば、わたしは笑うほうを選ぶ。

 この日は結局、燗酒3合。体も心もほっかほかに暖まって、徒歩帰宅。いいな、近所。
[PR]
by etsu_okabe | 2011-11-03 13:47 | 女の一人酒場

女の一人酒場

 声を大にして堂々と好きだと言えるものはそうないが、これだけははっきりと、
「酒場が好きだ」
 重たかったり干涸びていたり熱かったり冷たかったり、様々なモノを背負った人たちが、荷物を降ろしにやって来る。そこにはそれを丸ごと受け取って、しゃっしゃとさばいてくれる店主がいる。しかし両者の間には磨き上げられたカウンターがあり、決してなあなあな馴れ合いは許さない。お尻も背中も温かいが、あくまでも薄情。こんな居心地のよい場所、他にあろうか。
 わたしも客として、荷を降ろしにドアを開ける。行くときは一人、多くても二人だ。示し合わせて大勢でわいわいと行くのは、たとえそこが居酒屋であってもバーであっても、役目はレストランだとわたしは思っている。酒場とは、盛り上がる場所ではなく、しんみりとものを思う場所なのだ。
 今夜も荷物を抱えた一人ぼっちが、あっちのネオン、こっちのネオンと寄り集まり、アルコールとニコチンと小さく流れる音楽を胸に染み込ませ、慰められているのだろう。
 ああ、いいなあ。
[PR]
by etsu_okabe | 2011-10-29 17:29 | 女の一人酒場