小説を書いたり、酒を飲んだり、恋をしたり|岡部えつ


by etsu_okabe

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 とっても嬉しいことがあった。

 本当のことを言うと、今週はすごくショックなことがあって、それは自分の生活が脅かされる恐怖と、人への不信という嫌悪とがないまぜになった、とても気分の落ち込むことで、ここ数日はそれを受け入れるために、その恐怖と嫌悪に立ち向かっていたので、精神的にしんどい状態だった。

 今日あった「とっても嬉しいこと」は、そのしんどさに比べたら、ほんの些細な、小さな喜びなんだけれど、わたしはこんなとき、それを最大限に拡げて膨らませて抱きしめて、イヤなことすべてを相殺してしまう、そんな能力を持っているのです。
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by etsu_okabe | 2013-02-09 20:54 | 日々のこと/エッセー
 「恋人と別れた」というと、やたらとコンパをけしかけられたり異性を紹介されたりすることがある。弱っているところにつけこんで、言い寄ってくる人もいる。
 寂しさや苦しさを忘れたくて、ついそれに乗ってしまいたくなる気持ちもわかるが、わたしはそうやって間断あけずに次の恋愛にいくことには、感心しない。そんな成り行きで始まった恋は「前の恋愛の仇を討つ」という恋愛パターンに陥りやすいと思うからだ。

 前の恋愛で満たされなかったことを穴埋めしようとする恋愛は、相手など見ているようでまるで見ていない。傷口に塗りつけただけに効き目が大きくて、自分では大恋愛をしているつもりでいても、その目的は「癒し」ただその一点なので、それさえ済めば、気持ちはさーっと引いてしまう。結果、相手を傷つけるだけの、益のない時間を過ごしたことになる。
 いや、それならまだいい。もしも運悪く、新しい相手が前の相手と同種の人間だった日には、たて続けに同じ不覚をとることとなり、非常に悪い恋愛スパイラルに陥ってしまう可能性がある。そんな恋愛を、わたしはいくつか見てきた。

 とはいえ、一つ終わるたびに、長期に渡って「ただいま総括中」の札を下げ続けるというのも、ちょっともったいない話で(これ、わたしのこと)。
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by etsu_okabe | 2013-02-06 20:17 | 日々のこと/エッセー
 映画『ヘヴンズストーリー』を観てきた。4時間半以上に及ぶ長編が語るテーマは、喪失、憎悪、そして再生、といったところだろうか。
 物語は9章からなり、それぞれ「両親と姉を殺された少女」「妻子を少年に殺された男」「復讐代行(殺人)を副業にする警官」「理由なく若い母親と赤ん坊を殺した少年」「母子殺人犯の少年を養子にする若年性アルツハイマーの女」といった主人公たちが、物語を生きながら交錯していく。
 ことにメインのストーリーとなるのは、ともに家族を殺害という形で失った、少女と若い男との交わりだ。
 家族の命を残忍に奪われたことによる喪失を「憎しみ」で補填し、テレビの記者会見で「司法が許しても俺が必ず犯人を殺す」と復讐を誓って見せた男。同じように家族を殺されたが、犯人の自殺によって復讐する相手を失ったため、その喪失を『男の復讐を見届ける」ことで埋め合わそうとする少女。
 新たな家族を得ることで癒され、復讐を忘れかけていた男に、少女は憎しみを思い出させ、再び男を復讐に向かわせる。その果てに二人が行き着いた場所は……というお話。

 鑑賞中、わたしはずっと自分の喪失について考えていた。
 家族の死というような深く大きく抉られた穴、失恋や友人との喧嘩別れなど、あとからくっついたものがポキっと欠けた痕にできた浅い穴、わたしにも、埋まっていない色々な欠損がある。それでも時間を経て傷は癒えているから、ふだん痛んだりしない。しんどい状況に陥ったとき、冬場の古傷のようにちくっとすることはあっても。
 憎しみは、そうした「癒え」を妨げる。抉られたばかりの欠損部の痛み止めとして即効性はあっても、いつまでも毒で傷口を膿ませ続ける。痛い、憎む、痛い、さらに憎む、痛い、もっともっと憎む……。そうこうするうちに全身が化膿して、憎しみにかられた人は化け物になってしまうのだろう。

 この映画は最後に、主人公たちに「再生」を見せる。それによって全身膿み腫らした彼らの傷が癒えるという示唆なのか、考え考え帰途についたが、いまだにわたしにはわからぬままだ。
 何度でも考え直せ、と言われているような気がしてきた。

 映画『ヘヴンズ ストーリー』公式サイト
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by etsu_okabe | 2013-02-03 22:19 | 映画/芝居のこと