小説を書いたり、酒を飲んだり、恋をしたり|岡部えつ


by etsu_okabe

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『Crimes of Passion(クライム・オブ・パッション)』鑑賞。
 いっときケン・ラッセル祭りを敢行していくつか見たが、振り幅が大きくて面食らってしまうこの監督の、これはわたくし的には二重丸の作品。
 男が放出せずにはおれない性欲と、女が求めずにはおれない愛の、斬り合いのようなすれ違いに共感しきり。
 昼はキャリアウーマン(デザイナー)、夜は街娼という主人公チャイナブルーが、昼間の仕事と同様"完璧"に、客の要求通り夜の仕事をこなす様に目を覆いながら、渋谷円山町で同じようにズタボロに働いていた、東電OLのことを考えずにはおれなかった。
 神様はなぜ、男と女を作ったのだろう。
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by etsu_okabe | 2013-03-28 21:53 | 映画/芝居のこと

寂しい花見

 随分と昔、もう15年以上前だろう、怖ろしく可愛い顔をし、ほっそりとした白い肢体を持ったエキセントリックな女友達と、今日のような雨のしょぼつく午後、閑散とした桜並木のベンチに座り、傘をさしながら鰻の肝串を肴に花見をしたことを思い出した。
 あれは高井戸辺りの、神田川沿いの遊歩道ではなかったろうか。その数日前、無職のくせに裕福な親からの援助で暮らしていた広尾から、わたしの住む吉祥寺へ遊びに来た彼女が、井の頭線から見えたその桜を間近で見たいと言って、もう盛りを過ぎた頃に、二人で待ち合わせたのだ。
 傘を閉じた彼女が、ベンチの背もたれに頭を載せて天を仰ぎ、雨より激しく降り注ぐ桜の花びらを顔に受けながら、
「空を飛んでいるみたい」
 と言った真白な横顔が、忘れられない。
 とても、寂しい花見だった。
 その後まもなく彼女のエキセントリックが進行し、親によって精神病院に入れられてから疎遠になった。しばらくして「退院した」と突然訪ねてきたときには別人になっており、仲違いの末に縁を絶ってしまったが、今頃どうしているだろう。去年、子供を産んだと噂を聞いたが。
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by etsu_okabe | 2013-03-24 12:12 | 日々のこと/エッセー
 昨晩寝しな、久方ぶりに上村一夫『菊坂ホテル』を読んだ。
 関東大震災によって東京から江戸が消えてしまう前夜のひととき、大正期の東京本郷にあった実在のホテル(菊富士ホテル)が舞台。竹久夢二がお葉と愛憎をぶつけ合う隣室で、谷崎潤一郎が菊池寛と一杯やっていたりする、そんなホテルの一人娘八重子の、十八歳にしては冷静で早熟な視点で語られていくお話だ。物語中には他に佐藤春夫や伊藤晴雨、芥川、斎藤茂吉もちらと出てくる。
 それにしても、ここに出てくる人物たちをちょっとwikiっただけでも、(その偉業の遍歴はさておき)恋愛というか男女関係の遍歴の凄まじさには驚かされる。当時の空気の中で、これは自由だったのか悪徳だったのか。彼らや彼らに絡んでいた女たちに、発言小町の回答をしてもらいたいものだ、などと思いながら眠りについた。
 今朝起きて、勢いで団鬼六の『外道の群れ-責め絵師・伊藤晴雨伝』に手が伸びそうになったが、まずは仕事。表では桜が満開だそうな。
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by etsu_okabe | 2013-03-23 10:53 | 日々のこと/エッセー