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小説家です|岡部えつ


by etsu_okabe

『カワ』問題

<学校で、机の並んだ縦の列のことを、何と呼んでいましたか?>

 たて続けに「地元ネタ」でいく。
 もう数年来、気になったまま放っておいた問題が、前記事をきっかけに群馬関係のブログを覗いているうち、再び気になりだしてたまらなくなった。

 学校で、机の並んだ縦の列のことを、わたしの地元、群馬県(おそらく全域)では、こう呼んでいたのだ。

『カワ』

 正確に言うと、廊下側から順に、『1のカワ、2のカワ、3のカワ、4のカワ』と呼ぶ。
<使用例>「今週の便所掃除は2のカワで〜す」
     「4のカワの一番後ろって天国だよな」

 群馬県出身の人は、キョトンとしているだろう。「なに、そんなことが問題なの?」と。
 驚くなかれ、この呼称、全国区ではないのだよ、上州っ子諸君!

 わたしが職場(東京)で何のためらいもなく、
「じゃあさ、このカワの人から○○すれば〜?」
 と発言して同僚たちをポカンとさせ、初めてそのことに気づいたのが、わずか3年前のこと。
 そこに入社するまで、列のできるほど大人数の机が並ぶ職場にいたことがなかったのだが、たとえそういう環境にあったとしても、なかなか『カワ』は使わなかっただろう。
『カワ』は、小、中、高、の学校の教室内でしか使わない。あくまでも「縦に並んだ机の列」を呼ぶときのみなのだ。朝礼で並んだときに作るのは、『列』と言う。

 さてこの『カワ』、ならば群馬の方言かというと、そうではない。
 その大所帯の職場で一人一人に尋ねてまわったところ、東京都の一部、東北の一部、北海道の一部、中部地方の一部などで、
「うちの学校でも『カワ』って呼んでたよ」
 という調査結果が出たのだ。

 どういうコト?

 むか〜しむかしある一人の風流な教師が、教室にイガグリ頭とオカッパ頭がかわいく並んださまを見て、それを清らかな水の流れに見立てて『川』と呼んでみた。それはそのクラスで通称になり、そこにいた生徒は進級しても『川』を使った。その中でのちに教師になった者が、故郷から遠く離れた赴任先の学校でも、当たり前のように『川』を使う。そしてその教え子がまた......。という具合に、小さな<一部>から別の場所の<一部>へ、『カワ』は飛び火のように広がっていった。
 だから『カワ』は、方言のようにその地域全体で使われているのでなく、ある地域のごく狭い範囲で使われ、しかも全国に広がっている......。

 な〜んてことを想像したりして、じゃあその最初の風流先生ってどこの誰!? とこれまた気になったりしているわけだ。
 冒頭に述べたように、群馬に限っては、おそらく全域で使っている『カワ』。やはり出所はわが故郷なのだろうか......?
 ああ、気になって気になって仕方ない。

 この『常習女』、ありがたいことに、毎日平均100前後のアクセスがある。
 どうかどうか、ここをのぞいた方! あなたの育った地域で『カワ』を使っていたか否か、使っていなかったのなら何と呼んでいたのか、一言コメントを残して下さらないだろうか。
 お願いいたします!!



Bandit's Rain
さんにTBしています。
by etsu_okabe | 2004-10-16 02:39 | 日々のこと/エッセー