小説家です|岡部えつ


by etsu_okabe

出会い

 なんでもかんでも思い通りにいくことなんて、ない。そんなこと、分かってる。それなのに、10のうち7くらい望み通りにいってるくせに、3の「意に沿わぬこと」のために、うつむいて、じゅくじゅくうにゅうにゅ考え込んで、怒って、恨んで、憎んで、息をするのも忘れている。

 それは、そんな日の午後のこと。

 わたしはおそらく眉間に深〜い皺を寄せ、下唇をキッと噛み、足を投げ出し、ふて腐れてパソコンに向かっていた。
 その時、ラジオから流れてきたのだ。春の雨のように、静かで美しい音。
 胸の底で固まっていた大岩が、水分を吸ってほろほろと崩れた。誰に向かってか分からないけれど、「ごめんなさい」と言いたくなって、涙がぽろっと零れた。

 ハナレグミの「家族の風景」。
 今まで何度か友人に勧められて聴いたこともあったのに、なぜだかそのときはピンとこなかった。
 音楽も、人も、出会い方ってあるのかもしれない。

 わたしも誰かにとって、いい出会いになっているといいな。なーんて、いい歌と出会うと、わたしはしばらく「いい人」でいられるのだ。感謝。
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by etsu_okabe | 2004-11-02 22:30 | 音・詩のこと