小説家です|岡部えつ


by etsu_okabe

うろ覚え大作家・シェイクスピア|リア王を観る

a0013420_141934100.jpg 知人が出演する「リア王」の舞台を観に行った。

 この物語を初めて読んだのは、小学生のとき。5年生か6年生の国語の教科書だった。クラスで寸劇のような真似をしたのも覚えている。女子はみんな悲劇の末娘、コーデリアを演りたがった。当時は宝塚歌劇団の「ベルサイユのばら」が女子の間で熱狂的な盛り上がりを見せていたので、ヨーロッパのお姫様に対する憧れは、大変なものだったのだ。
 で。実のところ覚えているのはそれだけで、肝心のストーリーはさっぱり忘れてしまっていた。
 客電が落ち、役者が登場して物語が始まると「ああそうそう、そういう話だったっけ」と、ぼやけていた記憶が徐々に蘇ってはきたものの、やはりこの物語の核心については、全く理解していなかったことを知る。
 だいたい、姉二人の財産欲だけでない女としての情念や、老い先短い年寄りのひがみ根性が生み出す愚かな疑念など、今日片想いの男子とどれだけ会話できるかが人生の全てだった小学生に、理解せよというほうが無理な話だ。覚えていない方が正しい。
 それでも、物語のぼんやりした雰囲気だけは忘れさせないというのは、これこそが作者の力量なのかもしれない。

 考えてみると、ハムレットも、真夏の夜の夢も、ヴェニスの商人も、名台詞はぱっと浮かぶのに、「どんな話?」と聞かれると、「えっと~」となる(これでも高校時代は演劇部だったのだが)。わたしにとってシェイクスピアは「うろ覚え大作家」だ。ちゃんと説明できるのは、映画で観た「ロミオとジュリエット」くらいのもの。実はほとんどの人がそうではなかろうかと思っているのだが、どうだろう。

「あらゆる物語の原点がシェイクスピアにある」というようなことを、誰かが言っていたのを思い出した。本当にそうだとしたら、怪談の原点もあるのだろうか。「マクベス」がそれっぽかったような・・・・・・ああこれも、完全にうろ覚えだ。原作を読もう。

 ところで「リア王」の名台詞、
 人間、生まれてくるときに泣くのはな、
 この阿呆どもの舞台に引き出されたのが悲しいからだ。

 を聞いて、「胎児よ胎児なぜ踊る。母親の心がわかって恐ろしいのか(byドグラマグラ)」を思い出したのは、わたしだけでしょうか。。。

a0013420_1427113.jpg←今回、グロスター伯爵という重要な役を熱演した水島さんと、都内某書店にて。あくまでも清い関係の二人。
※いつでも惜しげなくエロスネタを提供してくれる水島さんのお店、新宿三丁目「スナック雑魚寝」もよろしく。
by etsu_okabe | 2009-08-06 15:11 | 映画/芝居のこと